悪性リンパ腫になってました

日本では少ない古典型ホジキンリンパ腫についてまとめていきたいと思います。

A+AVD療法を終えて(半年後)

6コース、ほぼ7ヶ月にかけて行われたA+AVD療法が終わり、約半年経過した現在の状況についてレポートします。

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完全寛解した?

治療前、私の腫瘍の大きさは10cmを超える大きさでした。が、ホジキンリンパ腫はほぼ治療法が確立されている上、今回採用されたA+AVD療法は効果の高い治療法との説明を受けていたこともあり、6コースの治療後、確認のPET−CT検査の結果を楽しみに待ってました。きれいサッパリに腫瘍部分が消える「完全寛解」の結果を獲るためです。

が、結果は2cmくらいの影が残っていて、完全寛解とはなりませんでした。

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ドクターは「10cm以上あったものがこれだけ小さくなったのは、ほぼ成功と考えていいよ。この辺の結果については個人差がある。しばらくは月一回通院し血液検査をしながら経過観察しましょう」とのことで、現在は月イチ通院生活です。

完全に消滅してないのは非常に悔しいですが、あれだけ大きかった腫瘍が小さくなっている、また他の部位にも変異してないことから、この状況をポジティブに受け入れることにしました。

副作用のその後

A+AVD治療では、よく言われるような、食欲不振、倦怠感、脱毛、指先のしびれが発生していました。治療が終わった後は、指先のしびれ以外は概ね回復。しばらくは吐き気感が強く「酒を飲みたい」という気も起きませんでしたが、ビール1缶くらいは飲めるまで回復。また抜けていた全身の毛という毛が一斉に生えだしてきました。けっこうきれいな体になっていたので、正直、頭部以外は生えてきてほしくはない感じです。

倦怠感はかなりなくなってきましたが、立ちくらみは時々発生しています。

最後にしびれですが、これだけはなかなか取れないですね。かなり指先の感覚も戻ってきて、モノが握れないという状況はなくなってきましたが、違和感だけは残っている状況。回復まで数年単位で覚悟するようにと言われてましたので、しばらくは漢方薬を併用して様子をみていきます。

仕事復帰

悪性リンパ腫やがんと診断された時、抗がん剤治療中や治療後にも、きちんと勤務が続けられるかが気になると思います。

A+AVD療法をはじめ、抗がん剤治療中は免疫力が大幅に低下するため、感染症予防対策が重要であり、不要な外出や人との接触といったリスクから身を守らなければなりません。となると通勤はおろか外出自体も極力控えなければなりません。

私の場合もともとデスクワーク中心の職種だった上に、このコロナ禍のおかげでリモートワークの環境が整ったおかげで、自宅に引きこもった状態で業務を続けることができました。有休は40日近くありましたが、入院時と抗がん剤の投与日、そして体調が優れない日ですべて消化してしまいました。しかし、有休の積立制度という会社の制度により給与に影響のない範囲で休暇を取得することができました。

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リモートワークが普及していない時代であれば出社勤務が原則だったので、出社できない療養中は疾病手当金のお世話になっていたかもしれません。そう思うと、このコロナ禍で治療できたのはある意味ラッキーだったのかもしれません。

ただし、副作用の出かたや強さなどは個人差があると思います。勤務されている会社の制度によってもサポート体制は異なるでしょう。無理して働いて体調に影響が出たり、治療が長引いたりするのは本末転倒です。まずは無理をせず治療に専念しましょう。どうせ治れば嫌でも仕事しないといけないんですから・・・(笑)

経過観察

A+AVD療法が終わってからは、月一回血液検査に通っています。

血液検査の項目の中で、私が特に注目している指標は、「CRP(C反応性蛋白)」「S-IL2R」「LDH」の3つです。

  • CRP・・・体の中に炎症が起きていると増加するタンパク質
  • S-IL2R・・・体の免疫防御機構が活性化すると数値が上昇する
  • LDH・・・血球に異常があると数値が上昇する

治療前は、CRP=7.8、S-IL2R=3000近く、LDH=250超となかなかの数値でしたが、現在ではCRP=0.0、S-IL2R=150〜200、LDH=150〜200と安定した数値を維持しています。

大きな自覚症状も今のところないので、とりあえず5年、この状態を維持できることを祈ります。

 

※このサイトは、ホジキンリンパ腫となった私が個人的に集めた情報の故、かなり限られたものになります。必ず担当の医師や薬剤師にご相談ください。

 

抗がん剤治療中に食べられるもの

抗がん剤治療を始める説明を受けている時に、「治療が始まったら生ものや発酵食品を食べるのは控えてください」と言われます。刺身やサラダが大好きな私としては、悲しい宣告でもあります。

これは抗がん剤治療により白血球(好中球)が下がることで、微生物による感染症発症のリスクが高まるからです。通常であれば人体への影響が少ない微生物でも、免疫力が低下している治療期に体内に入ってしまうと、予期できない影響が起きることがあるのです。ちょっとした食事でも注意を払わないと危険なんですね。

とは言え、具体的に「食べていいもの」と「ダメなもの」の資料を病院からもらえたわけではなく、また看護師さんに相談しても「うちの病院ってそういうのないわねぇ」という状態だったので、この際なんで自力で色々と調べてみました。

免疫機能が低下すると

白血球は細菌やウイルスから体を守る免疫機能を担っています。この白血球は骨髄で作られますが、抗がん剤治療を行うと白血球を作る機能が低下してしまいます。(すべての抗がん剤で低下するわけではありません)

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通常抗がん剤を投与した7日目〜14日目に好中球が減少し、その後また正常値に戻っていきます。抗がん剤治療中のこの時期は特に好中球が少なくなり免疫力が低下するので、感染症感染などに注意が必要です。

ではどうやって自分の好中球の数を知るか…それは血液検査をするしかありません。

その項目に「白血球数(WBC)」と「SEG(分葉核球)」「stab(桿状核球)」があれば簡単に計算できます。

好中球数=白血球数(WBC)×1000×(SEG+stab)/100

好中球の数を計算するサイトもあります。こちら

例)抗がん剤投与が中止となった時の私の数値 WBC=2.8 SEG=12.5 ※stabの項目なし

= 2.8 × 1000 × 12.5 / 100 =350 

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この表にあるとおり、好中球が500を切る「Grade4レベル」はかなりの状態にあたります。抗がん剤治療中いつもこの状態とは限りませんが、好中球の数は普段見えないものなので、日々の血液検査の数値などご自身で管理しておきましょう。

注意しておきたい食材

好中球の数が減少している時期では、普段かからないような感染症を発症するリスクが高まります。感染のリスクを下げるためには、リスクの高い食材は避け、衛生管理が行き届いた環境で調理を行うことが一番です。残念ながら今のところ白血球を増やす働きのある食材はないと言われてます。体の免疫力を高めるためにも栄養バランスの取れた食事を心掛けましょう。

参考までに、好中球が500/μL以下が続いた時の食事例(県立がんセンター新潟病院)を基に作成したものです。

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発酵商品は体にいいと言われるので取り入れたいところですが、上の表ではチーズやヨーグルトが入ってます。私が入院している時の病院食(常食)では普通に出てました(さすがに納豆はでませんでしたが)。

この辺りの判断はケースバイケースの気もしますので、気になる場合は医師に相談するのが一番でしょうね。

私は基本的にこのルールで食事を摂るようにしています。

  • 加熱調理する
  • 作り置きはせず2時間以内で食べきる
  • 野菜と肉・魚のまな板は分ける
  • 生野菜はよく洗う

私は蕎麦が好きなんですが、今は基本的にかけ蕎麦をチョイスしますが、 もり蕎麦を食べる時は、薬味のネギが生野菜になるので付けないようにします。

卵料理も、卵かけご飯はNGだけどカルボナーラ(75℃ 1分以上加熱調理)はOKみたいに自己流工夫をして、極力、「食べられない」という食事のストレスを回避するようにしています。

気をつけたい食中毒

家で調理をする際にどのレベルまで衛生管理を行うか…調理法と併せて気になるところです。私は厚生労働省が出しているサイトの内容を基準としてアレンジしてしています。

食中毒|厚生労働省

調理前の手洗いはもちろんですが、食材はしっかり洗浄して加熱。そして調理器具の取り扱いにも注意を払わなければなりません。

私は、まな板やふきんは調理のたびに、冷蔵庫や冷凍庫の中も定期的にこのハイターで殺菌するようになりました。

キッチンハイターだと希釈する手間もかからないし、スプレータイプなので気になった時にすぐ殺菌できるのがいいですね。

調理については、食材の中心部までしっかり加熱して作り置きをしないことが鉄則です。カレーやおでんなどは二日目が美味しいんですが、ウェルシュ菌など加熱調理後、環境によって増殖する菌は存在します。治療中は、料理を作ったらすぐ食べるようにしましょう。

嗜好品について

担当医に相談したところ、コーヒーや紅茶などカフェインが含まれた飲み物は特に問題はないとのご意見でした。むしろ気分転換になるのならという判断もあったのでしょうが、逆に抗がん剤の副作用からか、味覚障害があったり香りや味の強いものを敬遠してしまう時期もありました。

ただ、アイスコーヒーやアイスティ、フラペチーノのようなコールドタイプは個人的には避けるようにしています。またホイップなど加熱してないトッピングも控えた方が安心かなと思います。

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最後に飲酒に関して。私の体調と治療内容(ホジキンリンパ腫でA+AVD療法)を踏まえた上での担当医の判断は「ビール中瓶くらいは大丈夫じゃない?ただ生ビールはビール酵母が生きてるんだっけ?」というなんともゆるい回答が。ただし過度な飲酒は肝臓やその他臓器に影響も与えますし、アルコールの分解能力には個人差があります。まったく治療に影響がないとは言えないでしょう。また抗がん剤によってはアルコールが禁忌となっているものもあります。

自分で判断するのではなく、必ず担当医に相談してみてください。

 

※このサイトは、ホジキンリンパ腫となった私が個人的に集めた情報の故、かなり限られたものになります。必ず担当の医師や薬剤師にご相談ください。

A+AVDにかかる治療費について

実際にA+AVD治療って一体どれくらい費用がかかるのでしょう?

アドセトリス が保険適用になったとはいえこれを6コース続けるとなると結構な費用になりそうです。そして入院で投薬する場合と通院では異なるんだろうか…?などなど、治療する前に気になりそうな治療費に関するあれこれを、実際に治療が始まった私が説明していきたいと思います。医療機関や治療内容によって実際の費用は変わると思いますが、参考にしてください。

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治療の前に「限度額適用認定証」申請を

A+AVD療法の治療費は正直安くはありません。ただ日本では病院での支払いが高額になった時、「高額療養費制度」により自己負担額を超えた費用が払い戻される制度があります。とはいえ払い戻されるまで費用を立替えておくのも負担です。

そこで事前に「限度額適用認定証」を申請して病院の窓口に出しておくと、毎月病院で支払う医療費が自己負担額までですみます。(差額ベッド代や入院時食事代などは除きます)

f:id:Travel_GORO:20201128225856p:plain申請先は各健康保険によって異なります。

医療費が高額となっても、クレジットカードで支払ってマイルやポイントを稼ぐという方法もありますが、治療が決まった段階で「限度額適用認定証」を申請しておいた方がいいでしょう。

以下記載している医療費は、私の自己負担限度額(区分ウ)を適用した場合となっています。ご注意ください。

検査にかかる費用

私の場合、胸部レントゲンに異常があったことがきっかけだったので、まず呼吸器外科でいろいろと診察されました。その後転科し、血液科でホジキンリンパ腫と診断されましたがそれまで「PET-CT検査」「気管支鏡検査」「脳MRI」「経皮肺生検」「骨髄穿刺(マルク)検査」などを行いました。

検査は入院を伴うものと日帰りのものがあります。ここでは、入院を伴うものは差額ベッド代や食事代を抜いた物を記載しています。

  • CT検査・・・13,160円
  • PET-CT検査・・・24,750円
  • 気管支鏡検査(2泊3日の入院)・・・72,350円
  • MRI・・・9,150円
  • 経皮肺生検(1泊2日の入院)・・・45,460円
  • 骨髄穿刺(マルク)検査・・・23,960円

※3割負担時

これ以外にも、通常の診察や血液検査、また抗がん剤治療を始める前に、口腔外科・耳鼻科・内科で診察も行っていたので、それらも含めると22万円くらいはかかっていました。

A+AVD療法にかかる費用(入院時)

1コース目の抗がん剤治療は入院で行います。当初は7日×4週間の28日入院する予定でしたが、大きな副作用などもみられなかったことから、1コース目裏の投薬が終わった20日目に退院となりました。

  • A+AVD2回実施(20日入院)・・・104,800円

これは自己負担分であって、実際の保険点数は273,702点でした。保険点数は1点10円で換算しますので、無保険であれば273万円必要!となります。

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ちなみに私が入院した病院では、診察内容(検査・投薬・レントゲンなど)を合算していく「出来高払い方式」ではなく、病名や手術・処置等の内容(診断群分類)に応じて定められた1日あたりの定額点数を基本として入院診察費を計算する「DPC(包括評価)方式」が採用されていましたので、病院によっては算出方法が異なる可能性はあります。

A+AVD療法にかかる費用(通院時)

以降通院での投薬となります。

  • A+AVD1回実施・・・83,306円

1回あたりの保険点数は101,682点。同月内で2回抗がん剤を投与した場合は、限度額適用となるため、2回目の費用負担は少なくなります。

とはいえ毎月2回投薬すると10万円近くかかる訳なので、医療保険、特に通院保補償のあるものに入っていると安心ですね。

その他の費用

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この他、抗生物質や吐き気止め、便秘薬など毎日服用する薬代なども必要です。

またアドセトリス の副作用として好中球の減少があります。私は特にこの影響があるようで、毎週2回白血球を増やす「グラン」(フィルグラスチム)の注射があり、毎回1,300円かかっています。

今回は私のケースでご説明いたしました。患者さんそれぞれの状態によって必要な治療が異なりますので、詳しくは担当医に相談されるのが確実だと思います。

 

 

東京で入院するってこと

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病室(イメージ)

はじめての入院で勘違いしていたことがありました。それが「差額ベッド代」と言われるものです。「差額ベッド代」は正しくは、「特別療養環境室料」と言い、入院費用は全額自己負担となります。これを「個室=1人部屋」だけにかかるものだと思い込んでいたのです。

今回入院の説明の際4人部屋を案内され、個室ではないので「差額ベッド代」はかからないと思い承諾しました。が、その後調べていくと、「差額ベッド≠個室≠一人部屋」ではないことが判明!精算時にしっかりと差額ベッド代を支払うこととなってしまいました。

差額ベッド代

普通の病室(大部屋)に入院する場合には、「差額ベッド代」は発生しません。ただしこれらの条件を満たす部屋は個室に限らず差額を徴収される対象となるそうです。

  • 1病室の病床数が4床以下
  • 病室の面積が1人あたり6.4㎡以上
  • 病床ごとにプライバシーの確保をはかるための設備をそなえていること
  • 患者個人用の収納設備や、机、椅子、照明の設置

入院の説明の際、この環境の部屋しか案内されなかったので、差額ベッド代のかからない「ベーシックなお部屋」と思ったのですが、これらの要件を満たしたお部屋だったのです。ただこの差額ベット代、地域や病院によって差があることをご存知ですか?

全国平均

資料によると全国の平均は、1人部屋で7,837円、4人部屋で2,440円。(それぞれ1日あたり。入院の場合1泊2日だと2日分必要となります)

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差額ベッド代(全国平均)

(私の病院だけかもしれませんが、1人部屋の方からご飯を配膳されるという地味にサービスに差がつけられるシーンもございました)個人の占有スペースの他、テレビ、冷蔵庫、ロッカー、トイレ、洗面台、病院によってはコンシェルジュサービスといった設備の差によって、室料は異なります。 

東京のある大学病院の場合

私が今回入院した某大学病院の場合、病棟によっても異なりますがこれくらいの差額をが発生します。

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差額ベッド代(某大学病院)

全国平均と比較して2〜4倍の差ですね。ちなみに有名な慶應義塾大学病院の場合、4人部屋で8,800円、1人部屋で44,000円するので…まぁホテル並みです。

私の実家のある某県内の大学病院だと、2,000円〜30,000円の差額ベッド代で1人部屋に入ることができます。30,000円クラスは特別個室ですよ!

なぜ都内の病院の室料が高いのか。これは、土地代(固定資産)や人件費、その他係る経費は地方よりも割高になる傾向があるからだといえるでしょう。これらの固定費が他の地区と比べて高いのにも関わらず、診療報酬は全国均一。そうなると、室料やその他サービスなど差別化できるところで収益を上げていく必要があります。病院経営は、私たち庶民が思っているよりも厳しいのかもしれませんね。

 

差額ベッド代を回避する方法

差額ベット代を支払わずにすむ方法はあります。

まずは大部屋に入る意思を表して、差額ベッド使用の承諾書にサインをしないことです。サインをしてしまうと、利用を希望していると見なされるので注意が必要です。

ただし大部屋が空いてなく、空くまで入院できないケースもあると思います。治療優先で考えるかどうかは、医師とも相談し決めていただければと思います。

差額ベット代は、費用が高額な割には「高額医療費制度」も「医療費控除」の対象にもなりません。そういった点においても各種生命保険に入っておくのが安心だと言えますね。

 

 

ABVD療法とA+AVD療法

咳が止まらず検査中だった私に下された病名は、悪性リンパ腫のうち「古典的ホジキンリンパ腫」といわれるものでした。

この古典的ホジキンリンパ腫は進行度合いにより、I期からⅣ期に分類され、治療方針や予後が異なってきます。軽い順に、Ⅰ〜Ⅱ期を「限局期」、Ⅲ〜Ⅳ期を「進行期」となります。

私の場合、確認できる腫瘍の位置は胸部だけでしたが、「体重減少」と「腫瘍が大きい」ことから「進行期」と診断されました。

古典型ホジキンリンパ腫の治療

悪性リンパ腫には、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2つに分けられます。欧米と異なり日本では非ホジキンリンパ腫に罹る率が高く、ホジキンリンパ腫の発生頻度は低くなっています。

ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫は、このように分類されます。

ホジキンリンパ腫は、ホジキン細胞やリードステルンベルグ細胞という、リンパ球のB細胞由来の特徴的な腫瘍細胞が見られるリンパ腫です。非ホジキンリンパ腫は、腫瘍細胞の形や性質、リンパ球のB細胞、T細胞、NK細胞のうちどの細胞ががん化したかによって、細かく分類されます。

もっと知ってほしいリンパ腫のことより引用

ここでは私が罹った、ホジキンリンパ腫も「限局期」と「進行期」では治療アプローチが異なります。

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「限局期」の場合は化学療法をを行ったのち、放射線治療も併用します。これに対して「進行期」の治療は化学療法を6〜8コース行うことが基準となります。

この化学療法とは、一般的には抗がん剤と言われる薬剤でがん細胞の増殖を抑制させたり破壊する療法です。ホジキンリンパ腫においては、「限局期」「進行期」でもまずはじめにABVD治療と言われる化学療法が選択されるのが一般的です。

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「もっと知ってほしいリンパ腫のこと」より作成

「限局期」のホジキンリンパ腫の場合ABVD療法を行ったのち、場合によっては病変部だけに放射線を当てる局所放射線治療を組み合わせます。「進行期」ではABVD療法を6〜8コース行い、PET-CTなどの画像検査で残存病変が認められた場合には、病変部に放射線を照射します。進行期ホジキンリンパ腫の方に放射線治療が最初に用いられない理由としては、「腫瘍が大きい」「広範囲に広がっている可能性がある」といった理由から、まずはカラダ全体に抗がん剤を回してがんをやっつけるということのようです。放射線治療はピンポイントな部位の方が効率的ですからね。

ABVD療法とは

私が罹った進行期のホジキンリンパ腫の治療では、ABVD療法という化学療法が行われるのが標準です。ABVDとはその治療に用いられる4種類の抗がん剤(アドリアマイシン・ブレオマイシン・ビンブラスチン・ダカルバジン)の頭文字から命名されました。

それそれの薬剤の役割(効能)は、このようになっています。

アドリアマイシン(ドキソルビシン)…がん細胞のDNAに入り成長を止め死滅させる

ブレオマイシン…DNAの合成を抑えてがん細胞が増えるのを防ぐ

ビンブラスチン…がん細胞が増えるのを抑え、腫瘍を小さくする

ダカルバジン…がん細胞のDNAと結合し、DNAの複製を妨げる

このABVD療法は4週間を1コースとして、投薬(点滴)を2週間に1回行うサイクルで進みます。投薬しない日は、吐気止めや抗生物質などを服薬します。

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ABVD療法投薬スケジュール

A+AVD療法とは

2018年、分子標的薬のアドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン)が「未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫の治療」において保険適用されることになりました。それまでは、「再発または難治性」にしか適応されていませんでした。

このことにより、進行期のホジキンリンパ腫患者は効果的な薬剤を経済的負担を少なく享受できることとなりました。今回の私は、まさにこの対象です。

A+AVD療法とは、ホジキンリンパ腫治療の基準であるABVD療法のB(ブレオマイシン)をアドセトリスと入れ替える療法です。

このアドセトリス+AVD療法(A+AVD)とABVD療法のブレオマイシンと入れ替えることで

  • 無増悪生存期間の向上(82.1%→対照群77.2%)
  • ブレオマイシンを外す事により肺毒性の減少

といった効果が高まるデータがでました。

ブレオマイシンは、間質性肺炎や肺線維症などの副作用の報告もあり、この試験においては、グレード3以上の肺毒性が「アドセトリス+AVD」療法を受けた1%未満に、ABVD療法を受けた3%に発現したデータがあります。

無憎悪生存期間とは、治療中や治療後にがんが進行せず安定した状態である期間のことを言います。我々が気になるのは、がんの治療や治療後の生存期間(生存率)ですが、無増悪生存期間=生存期間ではありませんが、いい結果が出てます。

一方、好中球の減少や末梢神経障害の発現が多いことがわかっています。

治療のスケジュールは、ABVD療法と変わらず、4週間を1コースとした投与サイクルとなります。

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A+AVD療法投薬スケジュール

分子標的薬について

分子標的薬とは、がん細胞の表面にある特定のタンパク質や遺伝子を探し出し、その細胞だけに作用する薬のことです。

通常の抗がん剤は、がん細胞の破壊したり増殖を防ぐ働きをする強い薬なので、がん細胞だけでなく正常な細胞も攻撃してしまい、副作用が現れることが多くあります。分子標的薬はピンポイントに作用するので、体への負担が少ない薬と言えますが、全く副作用がないわけではないので注意が必要です。

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進行期ホジキンリンパ腫に用いられる「アドセトリス」は、遺伝子工学の手法で作られた抗体です。ホジキンリンパ腫の一部では、がん細胞の表面にCD30というタンパク質があります。このCD30のあるがん細胞だけに入り込み、薬剤を放ちがん細胞を攻撃するのが「アドセトリス」です。

アドセトリスの副作用について

アドセトリスも全く副作用がないわけではありません。

先に記したように、好中球の減少などが挙げられます。これは骨髄抑制と言われるもので、白血球や赤血球、血小板など骨髄で生み出されるものに影響が出る状態です。

免疫機能が低下することで、感染症にかかりやすくなります。また突然の高熱や寒気、倦怠感、息切れ、貧血、出血しやすい(あざができやすい)といったものも、骨髄抑制による影響と言えます。

また足先のしびれや痛みといった末梢神経障害も挙げられます。これは、薬剤が血流とともに全身を巡るためにおきると言われています。

この他にも吐気、下痢、便秘、脱毛なども主な副作用としてあるので、治療中何か気なる症状があれば担当医に相談してください。

費用に関して(薬価)

保険適用となりましたが、アドセトリスは高価な薬剤です。ABVDのブリオマイシンは4,699円(15mg)ですが、単純に薬価を比較するのはナンセンスですね。

ホジキンリンパ腫の寛解に向け、適切な治療法を選ぶのが重要です。

ちなみに今回私のA+AVD療法に用いられている薬剤の薬価は下記の通りです。(1回あたり)

  • アロキシ0.75mg 14,937円/瓶
  • ビンブラスチン(エクザール)10mg 2,680円/瓶
  • ドルソルビシン10mg(後発薬) 893円/瓶
  • ダカルバジン100mg 3,418円/瓶
  • アドセトリス50mg 474,325円/瓶

(この他に輸液なども点滴されましたが…)

抗がん剤は、対象者の身長や体重などの条件に応じて細かく投薬量が決められます。私の場合はアドセトリスを2瓶使用していたようなので、これだけでも100万円近くかかることになります。

実際に窓口で負担している治療費は、1回83,000円くらいで、2回目以降は数千円の負担ですみます。毎月結構な額を天引きされてますが、改めて日本の皆保険制度と高額医療費制度に感謝です!

 

※このサイトは、ホジキンリンパ腫となった私が個人的に集めた情報の故、かなり限られたものになります。必ず担当の医師や薬剤師にご相談ください。

悪性リンパ腫とは

 

悪性リンパ腫」という病名は聞かれたことがあると思います。「血液のガンで治りにくもの」というイメージがあるのではないでしょうか?私にはありました。

しかし実際調べてみると、近年治療方法が進んでいることもあり、種類にはよりますが不治の病とい恐ろしいイメージは少し和らいでいるのかなと感じました。

悪性リンパ腫とは

悪性リンパ腫は、血液細胞に由来するがんの1つで、白血球の1種であるリンパ球ががん化した病気です。 全身のいずれの場所にも病変が発生する可能性があり、多くの場合は頸部(けいぶ)、 腋窩(えきか)、 鼠径(そけい)などのリンパ節の腫(は)れが起こりますが、消化管、眼窩(がんか:眼球が入っている骨のくぼみ)、肺、脳などリンパ節以外の臓器にも発生することがあります。引用元:国立がん研究センター

リンパ組織は全身にあり、血液とともにリンパ球は全身を巡っている為、リンパ節だけでなく脾臓、骨髄、消化管、皮膚、分泌腺、生殖器、神経といったリンパ節以外の組織で発生する場合もあります。

そもそもリンパ球は、体に入ってくる様々なものから防御する働きがあり

悪性リンパ腫の原因

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悪性リンパ腫の一部を除いて、明確な原因はまだ分かっていません。

細胞内の遺伝子の異変や、ガン遺伝子の活性化、ウイルス感染症が関与する(ホジキンリンパ腫の一種では、EBウイルス潜伏感染の関与もその原因として示唆)ものと言われています。私の主治医は、家族間で遺伝するという物ではない、とも言ってました。

悪性リンパ腫の罹患者数

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出典:国立がん研究センター全国がん罹患データ(2017年のみ抜粋)

悪性リンパ腫の罹患者数は、34,571名。(男女合算しても一致しませんがデータのママです)男性18,522名、女性16,046名とやや男性が多めです。悪性リンパ腫の約95%が非ホジキンリンパ腫、5%弱がホジキンリンパ腫という構成。ホジキンリンパ腫は日本人では非常に少ないタイプと言えます。

年代的にみると、悪性リンパ腫は60代後半から増加し80代までがピークとなります。

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出典:国立がん研究センター全国がん罹患データ(2017年のみ抜粋)

悪性リンパ腫の症状

首や腋(わき)の下、足の付け根などリンパ節の多いところに、通常は痛みのないしこりとしてあらわれます。数週から数カ月かけ持続的に増大して縮小せずに病状が進むと、このしこりや腫れは全身に広がり、進行するに従って全身的な症状がみられるようになります。全身的な症状としては発熱、体重の減少、盗汗(とうかん:顕著な寝汗)を伴うことがあり、これらの3つの症状を「B症状」といいます。

その他には、体のかゆみや皮膚の発疹、腫瘤(しゅりゅう)により気道や血管、脊髄(せきずい)などの臓器が圧迫されると、気道閉塞、血流障害、麻痺(まひ)などの症状があらわれ、緊急で治療が必要な場合もあります。 

引用元:国立がん研究センター

 多くの方が、首の付け根や脇に塊のようなができてきて、調べてみたら「悪性リンパ腫」だったという体験談が多いようです。

私の場合は、自覚症状が咳以外全くなく、レントゲンを撮ってみて(といっても最初に呼吸器科で受診してしまった為かなり時間がかかりましたが…)分かりました。

健康診断の胸部レントゲンなどで見つかる方も少なからずいらっしゃるようです。

 

悪性リンパ腫の種類

悪性リンパ腫はホジキンリンパ腫とそれ以外の非ホジキンリンパ腫に大きく分類されます。細く分類すると70種類以上の病型に分類され、そのタイプにより進行の度合いや治療方法が変わってきます。

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悪性リンパ腫の病型分類

 

悪性リンパ腫の診断

リンパ腫と判定するためには、リンパ節やしこりの部分から組織を採取して病理検査を行います。その結果リンパ腫と判定されると、がんの広がりを見るため、胸部レントゲン、CT検査、PET-CT検査、脳MRI、骨髄穿刺(マルク)などを行います。

特にリンパ種が骨髄中に広がっているかどうかを判断することは、今後の治療方針にも大きく影響するため、骨髄液を採取する骨髄穿刺・骨髄生検や脳MRI、また甲状腺の検査などが重要となってきます。

これらの複数の検査の結果を経て、リンパ腫の状態や広がりを判断し治療が行われます。

 

 

※このサイトは、ホジキンリンパ腫となった私が個人的に集めた情報の故、かなり限られたものになります。必ず担当の医師や薬剤師にご相談ください。

咳が止まらない!

2020年6月某日

新型コロナウイルスの緊急事態宣言も解除されたので、近所のクリニックに行くことにしました。というのも今年に入ってから咳が止まらないからです。

しばらくの間、ブロンやアネトンといった咳止め市販薬を服用してたけど一向に症状は軽くならない。しかもこの鎮咳去痰薬というのが地味に高く、またドラッグストアで購入できる数量も制限があります。だから病院で保険が効く強めの薬を貰おうという軽い気持ちでクリニックを訪れました。ここは数年前にも受診したことがあり、その時も咳止めを処方してもらったことがあるクリニックです。

クリニック内はコロナウイルスの感染を防ぐため厳戒態勢でした。

名前を呼ばれ診察室に入る。ドクターに咳が止まらないことと薬が欲しい旨を伝える。過去受診した時のカルテもあるので、すぐにお薬を処方してくれるものだろうと思っていましたが、ドクターが「今年に入ってから咳が止まらない?長いねぇ。念のためレントゲン撮ってみよっか?」というので、レントゲンを2カット撮ることに。

再度名前を呼ばれ診察室に入ると、私の胸部レントゲンが投影されています。

そこには素人の自分が見ても分かるくらいの大きな影がしっかりと映っていました。

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胸部レントゲン

冗談っぽく「先生、これコロナじゃないですよね?」と聞くと結構真剣な口調で、「コロナはこんな影じゃない。でも明らかにあってはならない影が存在するから、CT検査をする必要がある。大学病院へ紹介状書くからすぐ行って!」と…

私が勤務する会社では、毎年夏に健康診断があり、去年は8月に受けています。

その時の健康診断では、胸部レントゲンも含め全く異常はないと言われていたので、半年そこらで、この怪しげな影は育ったことになります。となると、増殖のスピードはかなりのものです。

ドクターが大学病院へ電話してくれて、週明け月曜日に受診することが決定。

紹介状とレントゲンデータが記録されてたCD-ROM?を渡され、本日の診察は終了。

軽い気持ちで受診したのが一転、なんだか大ごとになりそうな事態に…

一抹の不安を抱えながら、2日後、紹介された大学病院へ行くこととなりました。